門番が目を覚ます前に ― 2015/04/13 20:13:15
目の前のビル群に太陽がゆっくりと昇り始める。振り向けば、闇に沈んでいた後ろの低い建物の屋根にも陽がさし始めた。
中国、陝西省、西安。 街を囲む城壁。
城壁の上は軍勢が移動するに十分な幅、およそ14メートル、美しいカーブを描いて地上へと続くレンガの壁の高さは、およそ12メートル、城壁の外側には堀が続く。この壁が守っているのは、およそ4キロ四方の西安、遡れば長安と呼ばれた古い都である。城壁の西の門から続く道がシルクロード、栄華はそこに始まる。
と、いうのが豆知識、この都市に到着した日、皆で昇って、その広さ、実用性に感心したものだが、帰国の出発の朝になって、どうしても、また、城壁の上から街をながめたくなった。
城壁に登るには、東西南北に設けられた門の登城のための通路を使うのが普通だが、それでは、ずいぶんと城壁に沿って移動しなければ、ならない場合がある。
そこで、ちゃんと抜け道があるのが中国の人の偉いところで、ところどころ、もちろん、壁の内側に、幅の狭い石段が設けてある。
その存在に気づいてしまったおっさんも前日に、とことこと、その長い石段、なんせビルの4~5階分をのぼったのだが、息を切らしながら、ようやくたどり着いたそこには、ほんとに小さな小屋、パチンコの景品交換所が、もっともイメージに近いのだが、が立っており、中で若いおねいさんが編み物をしていた。小さな窓口の表示には、観覧は一人、一元とある。なるほど、中国人民は、侮れない。こんなところで争っては、おそらく、ひとりで此処を守っている彼女は、拳法の達人で、最後は、おっさんが階段を転げて終わる展開になると、見切ったおっさんは、にこやかに彼女に1元硬貨をわたした。代わりに、切符やパンフレットがでてくるなどというのは、期待してはいけない。まさしく、ここは関所、通していただけるだけで有難い。
さて、出発の朝、どうしても、もう一度、城壁の上からの風景を見たくなったおっさんは、階段を駆け上がった。門番小屋は閉ざされていた。なるほど、パートタイムなんだ。少々、後ろめたい気持ちも覚えつつ、城壁の東端へレンガに穿たれた銃眼から、今や大都市となった西安の城壁の外に広がるビル群が朝日に輝いている。都市機能の大部分は、あちら側にある。
それにしても、いったい、どれくらいの数のレンガが重ね合わせてあるのだろう。一生、レンガを焼いて、一生、レンガを積み続けた人の営みがあったのだろう。彼らの働きは、ゆらぐ事無く残り、700年後のおっさんを感動させている。技術屋は、職人は無名でかくあるべしと。
長安を手本にしたという平城京、平安京に城壁は無い。壁で守るべき外敵は存在せず、都市計画だけを拝借するという知恵だったのだろう
振り返ると、城壁の中の街にも陽がさし始めた。こちらは、微妙に時の流れが異なっていたようにも、思う。ムスリムだけの通り、お酒の店が無いのに活気があった。競争しながら連凧を商っていたおばさんたち。鐘楼の鐘の音。東西に仕切られた秩序ある町並み。城壁は新しい中国から、少し時間の流れの異なる中国を守っている。
陽が上りきる前に、門番が目を覚ます前に、石段を降りるとしよう。
追記: 城壁の写真は、こちらです。
http://eastport.asablo.jp/blog/2015/04/29/7623236
西安市観光局のホームページがほほえましい。
日本語はかなり変だけど、気持ちは伝わってくる。
大きな市街図もあります。ぜひ、ごらんあれ。
http://jp1.xian-tourism.com/
中国、陝西省、西安。 街を囲む城壁。
城壁の上は軍勢が移動するに十分な幅、およそ14メートル、美しいカーブを描いて地上へと続くレンガの壁の高さは、およそ12メートル、城壁の外側には堀が続く。この壁が守っているのは、およそ4キロ四方の西安、遡れば長安と呼ばれた古い都である。城壁の西の門から続く道がシルクロード、栄華はそこに始まる。
と、いうのが豆知識、この都市に到着した日、皆で昇って、その広さ、実用性に感心したものだが、帰国の出発の朝になって、どうしても、また、城壁の上から街をながめたくなった。
城壁に登るには、東西南北に設けられた門の登城のための通路を使うのが普通だが、それでは、ずいぶんと城壁に沿って移動しなければ、ならない場合がある。
そこで、ちゃんと抜け道があるのが中国の人の偉いところで、ところどころ、もちろん、壁の内側に、幅の狭い石段が設けてある。
その存在に気づいてしまったおっさんも前日に、とことこと、その長い石段、なんせビルの4~5階分をのぼったのだが、息を切らしながら、ようやくたどり着いたそこには、ほんとに小さな小屋、パチンコの景品交換所が、もっともイメージに近いのだが、が立っており、中で若いおねいさんが編み物をしていた。小さな窓口の表示には、観覧は一人、一元とある。なるほど、中国人民は、侮れない。こんなところで争っては、おそらく、ひとりで此処を守っている彼女は、拳法の達人で、最後は、おっさんが階段を転げて終わる展開になると、見切ったおっさんは、にこやかに彼女に1元硬貨をわたした。代わりに、切符やパンフレットがでてくるなどというのは、期待してはいけない。まさしく、ここは関所、通していただけるだけで有難い。
さて、出発の朝、どうしても、もう一度、城壁の上からの風景を見たくなったおっさんは、階段を駆け上がった。門番小屋は閉ざされていた。なるほど、パートタイムなんだ。少々、後ろめたい気持ちも覚えつつ、城壁の東端へレンガに穿たれた銃眼から、今や大都市となった西安の城壁の外に広がるビル群が朝日に輝いている。都市機能の大部分は、あちら側にある。
それにしても、いったい、どれくらいの数のレンガが重ね合わせてあるのだろう。一生、レンガを焼いて、一生、レンガを積み続けた人の営みがあったのだろう。彼らの働きは、ゆらぐ事無く残り、700年後のおっさんを感動させている。技術屋は、職人は無名でかくあるべしと。
長安を手本にしたという平城京、平安京に城壁は無い。壁で守るべき外敵は存在せず、都市計画だけを拝借するという知恵だったのだろう
振り返ると、城壁の中の街にも陽がさし始めた。こちらは、微妙に時の流れが異なっていたようにも、思う。ムスリムだけの通り、お酒の店が無いのに活気があった。競争しながら連凧を商っていたおばさんたち。鐘楼の鐘の音。東西に仕切られた秩序ある町並み。城壁は新しい中国から、少し時間の流れの異なる中国を守っている。
陽が上りきる前に、門番が目を覚ます前に、石段を降りるとしよう。
追記: 城壁の写真は、こちらです。
http://eastport.asablo.jp/blog/2015/04/29/7623236
西安市観光局のホームページがほほえましい。
日本語はかなり変だけど、気持ちは伝わってくる。
大きな市街図もあります。ぜひ、ごらんあれ。
http://jp1.xian-tourism.com/
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